藤川IP特許事務所メールマガジン 2022年7月号

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◇◆◇ 藤川IP特許事務所 メールマガジン ◇◆◇
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━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━━
                       2022年7月号
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┃ ◎本号のコンテンツ◎
┃ 
┃ ☆知財講座☆
┃(6)特許事務所(弁理士)への特許出願の依頼

┃ ☆ニューストピックス☆

┃ ■「知的財産推進計画2022」を決定(政府)
┃ ■クラウドファンディングを活用した意匠登録の事例集(特許庁)
┃ ■「科学技術・イノベーション白書」を公表(文部科学省)
┃ ■意匠登録の最新の出願動向を公開(特許庁)
┃ ◆国際出願関係手数料が改定(特許庁)
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政府は、「知的財産推進計画2022」を決定しました。推進計画では、スタートアップ(新興企業)の特許利用を促進する制度の創設など、重点8施策を掲げました。今号では、「知的財産推進計画2022」の概要を取り上げます。

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
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(6)特許事務所(弁理士)への特許出願の依頼

【質 問】
社内でまとめたアイディアについて特許事務所(弁理士)に特許出願を依頼に行きたいのですが、アイディアを説明するためにどのようなものを準備すればよいでしょうか?

【回 答】
特許事務所の弁理士が特許出願の依頼を受けるにあたり発明者、特許出願人となる方から説明していただきたい事項を紹介します。

<特許出願で特許庁へ提出する書面>
特許出願では特許権の付与を求める発明を文章(必要であれば文章と図面と)で説明して特許庁へ提出します。弁理士は、「明細書」、「特許請求の範囲」、必用な場合の「図面」を準備します。このための手掛かりとなり、特許出願人の代理人となる弁理士が発明内容を正確に把握・理解することに役立つ事項として、最初にこのような事項をご説明をいただけるとありがたい、というところを以下に紹介します。

<どのような技術分野・技術に関するものか>
開発された発明、アイディアがどのような技術分野のものであるか、例えば、金属加工技術、食品製造技術、等。発明内容を把握する上での第一歩になります。「明細書」で「技術分野」の欄に記載する事項になります。

<これまではどのようにしていたのか>
開発された発明、アイディアの技術分野では従来はどのように行っていたのか。「明細書」で「背景技術」の欄に記載する事項になります。特許出願を行う際「背景技術の欄」に、特許出願人が知っている先行技術文献情報を記載する必要があります。開発された発明、アイディアに関連する従来の特許出願の内容が公表されている特許出願公開公報の番号を記載するのが一般的です。

ご自分で特許庁のJ-Plat Patを利用して特許調査を行い、先行している特許出願公開公報の番号をご存知でしたら弁理士にお知らせください。

なお、特許出願の準備を進めるにあたって、弁理士は、「背景技術の欄」に記載する先行している特許出願公開公報を検索する調査をある程度のレベルで行うのが一般的です。この際に発見できた先行している特許出願公開公報を弁理士から提供受けることで、開発した発明、アイディアにおける新規な部分をより明確に説明できるようになることもあります。

<どのようなことを解決・改善しようとするのか>
これまでどのようなところに不具合を感じていたのか、どのようなところに困っていたのか。従来になかった新しいニーズに対応できる発明、アイディアを開発した場合、どのような新たなニーズに対応しようとしているのか。「明細書」で「発明が解決しようとしている課題」の欄に記載する事項になります。

<解決・改善のために採用した工夫>
どのような工夫を採用したことで上述した不具合、困っていた問題点を解決できたのか。あるいは、どのような工夫を採用したことで上述した新たなニーズに対応できるようになったのか。「明細書」で「課題を解決するための手段」の欄に記載する事項になります。また、特許請求する発明として「特許請求の範囲」に記載する事項になります。

<今回の工夫を採用したことでどのようになったか>
上述した不具合、困っていた問題点を解決でき、上述した新たなニーズに対応できるようになったということです。これらのみにとどまらず、開発した発明、アイディアによって実現できるようになった利点は何か。「明細書」で「発明の効果」の欄に記載する事項になります。

<開発した発明、アイディアの具体例>
開発した発明、アイディアを実際に行っている実例、例えば、機械・構造物の図面や写真・現物、実際に製品を製造したときのデータや試験・実験結果、従来のものと比較・検討した試験・実験結果データ、発明、アイディアが実際に行われるときの簡単なフローチャート、等。「明細書」で「発明を実施するための形態」、「実施例」の欄に記載する事項になります。

<面談の形式、等>
特許事務所においでいただいて説明を受ける、あるいは、開発現場である工場などに弁理士が訪問させていただいて説明を受ける、等の形式があります。いずれにしても、開発された発明、アイディアを弁理士が正確に把握・理解する目的で、上述したような事項をご説明いただけると助かりますが、これらは、最初の段階から完全に準備していただく必要はありません。箇条書きのようなメモのようなものでご説明いただいてもよいです。

また、図面などをご持参いただいて口頭で説明していただく、等、弁理士がヒアリングする中で質問し、ご説明をいただくことで発明の内容を把握する形式にすることもできます。

<次号のご案内>
特許出願は発明者個人で行うこともできますし、発明者から特許を受ける権利を譲り受けた会社が行うこともできます。また、一社だけでなく、複数の会社が共同して特許出願を行うこともできますし、特許出願を行った後に特許出願人の名義を変更することもできます。来月は特許出願人になれる者についてのご質問への回答を紹介します。

■ニューストピックス■
「知的財産推進計画2022」を決定(政府)
政府の知的財産戦略本部(本部長・岸田文雄首相)は、「知的財産推進計画2022」を決定しました。
▷詳細はこちら(別サイトが開きます)

推進計画では重点施策として、「スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化」「知財・無形資産の投資・活用促進メカニズム強化」「標準の戦略的活用の推進」「デジタル社会の実現に向けたデータ流通・利活用環境の整備」「デジタル時代のコンテンツ戦略」「中小企業/地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化」「知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化」「アフターコロナを見据えたクールジャパンの再起動」の8項目を掲げました。

<スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化>
大学などで生み出された知財をスタートアップ(新興企業)がフルに活用し、事業化につなげていくため、大学と企業が共同で保有する特許について、企業側が一定期間、正当な理由なく特許発明を実施しない場合は、大学の判断で第三者にライセンスすることができるルールを新たに作る方針です。特許法では原則、複数の者の共同研究によって発明がなされた場合は、その全員が特許の申請者となり共有特許となります。この場合、他の共有者全員の同意がなければ第三者へのライセンスができないとされます。推進計画では、「一定の条件のもと、大学側の判断だけで第三者にライセンスできるルールを整備する」と明記。こうしたルールを盛り込んだ指針「大学知財ガバナンスガイドライン」(仮称)を年内にまとめる方針です。

また、スタートアップ企業が、大学が保有する特許を利用する際、現金の代わりに株式や新株予約権などでもライセンス料の支払いができるように制度を改正するとしています。

クラウドファンディングを活用した意匠登録の事例集(特許庁)
特許庁は、「クラウドファンディング活用企業による意匠登録事例集」を発表しました。
▷詳細はこちら(PDFが開きます)

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法です。近年、中小企業の新たな資金調達として注目されています。事例集では、クラウドファンディングを行う際に意匠権を活用した企業の具体例と、クラウドファンディングを行う際に意匠権に関する注意事項などを紹介しています。活用事例の概要は以下の通り。

①スマートウォレット
コンパクト化した革製の財布:目標金額100,000円に対し支援額3,530,500円、支援者229人、達成率3,531%
②卓上火鉢
炭火文化を室内で:目標金額1,790,000円に対し支援額1,925,100円、支援人数40人、達成率107%
③マスクハンガー
銅製で抗菌性等に優れる:目標金額300,000円に対し支援額2,567,920円、支援者数646人、達成率855%
④電動スクーター
片手で運べる充電40km走行:目標4,000,000円に対し支援額154,983,400円、支援者数1829人、達成率3,874%
⑤双眼鏡×単眼鏡
分離して単眼鏡、直列で望遠鏡に活用可:目標金額1,000,000円、支援額4,824,000円、支援者数200人、達成率482%
⑥ハンガーブレスレット
バックハンガーをアクセサリーにも、耐荷重6kg:目標金額200,000円、支援額1,712,021円、支援者数324人、達成率865%

科学技術・イノベーション白書・2022年版(文部科学省)
文部科学省は、2022年(令和4年)版「科学技術・イノベーション白書」を公表しました。
▷詳細はこちら(別サイトが開きます)

白書は成長戦略の柱として掲げる「科学技術立国の実現」に向けた現状と課題について分析しています。この中で、影響力が大きな学術論文(被引用数上位10%)の数の国別ランキングをみると、日本は20年前は世界4位でしたが、2018年にインドに抜かれ、現在は過去最低の10位にまで後退しています。過去20年の各国の大学などの研究開発費の伸びを比較すると、中国が23.4倍、韓国が4.7倍、アメリカが2.6倍などと主要国が大きく増加しているのに対し、日本は0.9倍と停滞しているのが現状です。

こうした課題の解決に向けて、大学の研究力強化のため、10兆円規模の大学ファンドを創設するなどして大学の研究基盤の強化や若手研究者への支援などに充てていく方針が示されています。また、人工知能や量子などの先端技術については、国が強力に研究開発を進めていくことが必要だと指摘しています。

意匠登録の最新の出願動向を公開(特許庁)
令和2年4月1日施行の意匠法改正により、「画像」「建築物」「内装」のデザインについても、新たに意匠登録ができるようになりました。特許庁では特設サイトで最新の出願動向などを公開しています。それによると、新たな保護対象となった「画像」「建築物」「内装」の出願件数は次の通り。(6月1日時点で取得可能なもののみ)
「画像」:2,738件
「建築物」:735件
「内装」:537件
詳細は特許庁HPをご参照ください。▷詳細はこちら(PDFが開きます)

PCT国際出願関係手数料が改定(特許庁)
2022年7月1日より、国際出願関係手数料が改定されます。2022年7月以降に国際出願手数料、取扱手数料、日本国特許庁以外の国際調査機関が国際調査を行う場合の調査手数料の納付をする場合は、手数料の額及び適用関係にご注意してください。詳細は特許庁HP▷詳細はこちら(別サイトが開きます)

<編集後記>
【今月の一冊】『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略 小野塚征志 (著)』 最近、DXという言葉をよく耳にします。本書はDXの事例が豊富であり、本書を読むことでDXに対する理解が深まり、自身の業務でのDX推進のヒントが得られると思います。

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発行元 藤川IP特許事務所
弁理士 藤川敬知
〒468-0026 名古屋市天白区土原4-157
TEL:052-888-1635 FAX:052-805-9480
E-mail:fujikawa@fujikawa-ip.com

<名駅サテライトオフィス>
〒451-0045 名古屋市西区名駅1-1-17
名駅ダイヤメイテツビル11階エキスパートオフィス名古屋内

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