藤川IP特許事務所メールマガジン 2026年7月号

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◇◆◇ 藤川IP特許事務所 メールマガジン ◇◆◇
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━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━━
                        2026年7月号
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┃ ◎本号のコンテンツ◎
┃ 
┃ ☆知財講座☆
┃ (54)特許出願非公開制度

┃ ☆ニューストピックス☆

┃ ■「知的財産推進計画2026」が決定(政府)
┃ ■特許審査において「標準戦略対応審査」の施行開始(特許庁)
┃ ■知的財産の適正取引に向け指針を公表(公正取引委員会など)
┃ ■BGM使用料、アーティストにも還元(改正著作権法が成立)
┃ ■生成AIの楽曲の著作権めぐり指針を公表(JASRAC)
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政府の知的財産戦略本部は、「知的財産推進計画2026」を決定しました。
同計画では、知的財産権の侵害が生じた際の新たな民事救済措置の導入などが盛り込まれました。

今号では、「知的財産推進計画2026」の概要を紹介します。

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
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(54)特許出願非公開制度
【質問】
特許出願の内容は特許出願公開公報にまとめられて特許出願後18カ月経過した時点で特許庁から公表(公開)されるのが原則であると考えていました。特許出願後18カ月経過しても特許出願の内容が公表(公開)されない特許出願非公開制度が開始されたと聞きました。この内容を教えてください。

【回答】
 特許出願非公開制度は、特許出願の明細書等に、公にすることにより外部から行われる行為によって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が記載されていた場合に、「保全指定」という手続によって、当該特許出願については特許出願公開公報の発行・特許庁J-Plat Patへの掲載による出願公開が行われず、出願公開・特許査定及び拒絶査定といった特許手続を留保するというものです。

▷詳細はこちら(別サイトが開きます)

 特許庁が受け付けた特許出願を非公開にするかどうか(すなわち、保全指定をするか否か)の審査は、特許庁による第一次審査と、内閣府による保全審査(第二次審査)の二段階に分かれています。

 なお、日本国特許庁に特許出願すれば保全審査の対象となる発明、すなわち「日本国内でした発明であって公になっていないもののうち、政令で指定された特定技術分野(※)に属する発明(付加要件による絞り込みの対象となる技術分野については付加要件も満たすもの。)」が記載されている外国出願は、2024年5月1日から禁止されています。

 禁止対象の外国出願には特許協力条約に基づく国際出願(PCT出願)も含まれます。このPCT出願には、日本国特許庁に提出した特許出願を優先権主張の基礎として行うPCT出願だけでなく、優先権主張せずに最初の出願として行うPCT出願(いわゆる、ダイレクトPCT出願)も含まれています。

 (※)特定技術分野とは、公にすることにより外部から行われる行為によって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が含まれ得る技術の分野で、国際特許分類を用いて政令で定められています。また、特定技術分野として定めた国際特許分類のうち、保全指定をした場合に産業の発達に及ぼす影響が大きいと認められる技術の分野については、付加要件により技術分野以外の角度からの絞り込みもおこなわれることになっています。特定技術分野及び付加要件の具体的範囲・内容は、内閣府のホームページで公表されています。

▷詳細はこちら(PDFが開きます)

<特許庁による第一次審査>
 特許庁は、国際特許分類等に基づいて特定技術分野に属する発明が記載されている特許出願を選別します。第一次審査において「特定技術分野に属する発明が記載されている」と認められた特許出願の出願書類は、内閣総理大臣(内閣府)へ送付されて内閣府での保全審査(第二次審査)に付されます。

<第一次審査の対象になる特許出願>
 第一次審査は、特許出願が行われた、全ての国内出願(PCT制度を経由して国内移行されたものを除く)に対して行われます。第一次審査を受けないようにすることはできません。

<第一次審査を受けるために必要な手続>
 第一次審査は全ての国内出願について自動的に行われます。そこで、第一次審査を受けるための特別な手続や手数料の支払いはありません。

<第一次審査に要する期間>
 特許庁で行われる第一次審査は特許出願から3か月以内に完了します。
 第一次審査の結果、保全審査に付すことになった場合には、出願の日から3か月以内に、特許庁長官から特許出願人(代理人がいる場合は代理人)宛に書留郵便でその旨の通知(内閣府へ送付した旨の通知)が発送されます。この通知が来なければ保全審査に付されなかったことを確認できます。

<不送付通知の申出>
 特許庁での第一次審査の結果、内閣府の第二次審査(保全審査)へ送付されないことになったのを、積極的に、特許出願人が知りたい場合、不送付通知の申出を特許庁へ提出しておくことができます。不送付通知の申出を行っておくことで、第一次審査の結果、内閣府に送付しないことになった旨が明示的に特許出願人に通知されます。

<第一次審査で保全審査(第二次審査)へ送付されなかった特許出願>
 第一次審査で保全審査(第二次審査)へ送付しないと判断された特許出願は、従来通り、出願日から18か月経過した時点で特許出願公開されます。また、外国出願禁止の制限を受けないことになります。

<第一次審査と並行する通常の審査手続>
 第一次審査は、特許法に基づく特許審査の手続、すなわち、出願審査の請求が行われて開始される、新規性や進歩性等の特許要件を判断するための審査手続とは異なるものです。
 そこで、従来通り、特許出願と同時に出願審査請求、早期審査事情説明書提出を行って通常の審査を受けながら、その一方で、特許庁における上述の第一次審査が進行する形態にすることができます。

<保全審査が行われている間及び保全指定後の留保>
 上述したように、第一次審査が行われている間、出願審査請求を行って特許審査を受けることは可能ですが、内閣府での第二次審査(保全審査)に回されることになって保全審査が行われている間は、特許査定・拒絶査定が留保されます。

 また、保全審査の結果、保全指定された場合は、保全指定後も、保全指定の期間満了又は解除まで特許査定・拒絶査定が留保されます。

<内閣府での第二次審査(保全審査)>
 保全審査は、発明の情報を保全することが適当と認められるかについて審査するもので内閣府が行います。

<保全審査の結果>
 保全指定:保全審査で保全指定すべきとの判断になった場合には、保全対象となる発明が指定されて、その旨が特許出願人に通知されます。

 保全指定された場合、外国への出願禁止だけでなく、特許出願の取下げ禁止、発明内容の開示の原則禁止、発明の実施の許可制、発明情報の適正管理義務、他の事業者との発明の共有の承認制などが特許出願人に課されることになります。このため、実施制限等により特許出願人が受ける通常生ずべき損失が補償されます。

 保全指定がされる場合、保全指定の期間は1年以内で、以後、1年ごとに延長の要否が判断されます。1年ごとの延長要否判断で延長不要となり、指定解除されたり、保全指定期間が満了すると、通常の特許出願手続ルートに戻ります。

 保全審査で保全指定不要と判断された場合には、その旨が特許出願人に通知され、通常の特許出願手続ルートに戻り、外国出願の禁止は解除され、出願後18か月経過した時点での出願公開が行われます。

<保全指定を行う場合の特許出願人に対する事前の意思確認>
 保全指定を行う場合は、特許出願人に対して事前にその旨を通知し、特許出願を維持するかどうかの意思確認が行われます。この通知を受けた特許出願人は特許出願の取下げを行うことができます。

<保全審査の期間>
 外国出願の禁止は、日本国での特許出願後最大10か月で自動的に解除されることになっています。そこで、保全審査は日本国での特許出願後最大10か月以内に終えるとされています。

 すなわち、日本国特許庁への特許出願後、第一次審査で保全審査に付されないという判断になった特許出願、保全審査に付されることになったが10か月以内に保全指定されない特許出願に関しては、外国出願の禁止は自動的に解除されることになります。

 また、外国出願の準備を行う特許出願人の実務を考慮し、保全審査開始後に保全指定が不要であると判断できる時には、その時点で、その旨が速やかに特許出願人に通知されることになっています。

<外国出願事前確認>
 日本国特許庁へ特許出願を行うことなしに、直接、外国へ特許出願することや、ダイレクトPCT出願を希望する場合であって、出願を考えている発明が外国出願禁止の対象になるものであるかどうかを確認したい場合、日本国特許庁へ外国出願事前確認のための申出書を提出できます。

 申出書を特許庁が受領した後、特許庁が内閣府への確認を求めない、等の場合であれば、10開庁日程度で特許庁の判断を受けることができます。

 特許庁が「特定技術分野に属する発明ではない」と判断した場合は外国出願可能です。

■ニューストピックス■
●「知的財産推進計画2026」が決定(政府)
政府の知的財産戦略本部は、「知的財産推進計画2026~成長戦略を支える知財戦略の推進~」を決定しました。

▷詳細はこちら(PDFが開きます)

同計画では、知的財産権侵害が生じた際の損害回復や侵害者の利益の剥奪を確実にする民事救済措置の導入について検討を進めることが明記されました。

知的財産権を巡っては、侵害行為で得た利益が被害者への賠償額を上回り、「侵害した者勝ち」となるケースがあると指摘されています。これを踏まえ、計画では、侵害した側の利益を奪い取る新たな民事上の措置を導入するとしています。

さらに、個々の権利者が単独で対応しにくい権利侵害に備え、集団的な権利行使を可能にする新たな仕組みの構築も進める方針です。特許や著作権などの権利を侵害された場合でも、一人一人が証拠を集めて訴訟することは難しいため、権利者に代わって集団提訴する「認定団体」を創設することも盛り込みました。

また、競争力の源泉である知財・無形資産の潜在的価値を可視化することによって、中長期の成長投資に資金が回るよう、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」を改訂する方針です。これらの取り組みが投資家に適切に評価される環境を整備するため、有価証券報告書等における開示の在り方を検討し、本年度中に方針を示すとしています。

●特許審査において「標準戦略対応審査」の施行開始(特許庁)
特許庁は、標準化を目指す技術に関する特許出願の審査について、標準開発の進捗に合わせてユーザーの希望するタイミング(審査請求から最大24か月後)で行う「標準戦略対応審査」の試行を本年7月1日より開始します。標準化と特許出願を一体化し、日本企業の国際競争力の強化を狙う方針です。

▷詳細はこちら(別サイトが開きます)

現在、国際標準の策定と同時に技術開発を進める場合、国際機関での審議結果に合わせて特許内容の修正が必要になっても、特許の取得後は原則修正できないという課題があります。新制度では、企業側は、標準化の進捗状況を見極めながら、戦略的な時期に合わせて審査開始月を指定できるため、標準戦略と知的財産戦略を同じ時間軸で連動させることが可能となります。

標準戦略対応審査の対象となるのは、企業等が国際規格の制定や普及に向けた標準化活動を行っている技術に関する特許出願。企業が希望可能なタイミングとしては、審査請求から最短で12か月後、最長で24か月後の範囲内とされています。

●知的財産の適正取引に向け指針を公表(公正取引委員会など)
公正取引委員会、特許庁、中小企業庁は、中小企業が持つ知的財産やノウハウ、データを適切に取引するための指針(ガイドライン)を公表しました。

▷詳細はこちら(別サイトが開きます)

指針では、比較的弱い立場にある中小企業に対し、ノウハウの開示を強要したり、秘密保持契約(NDA)の締結を拒否するといった約70の問題事例を挙げ、こうした行為は、独占禁止法や中小受託取引適正化法(旧下請法)に違反する可能性があるとの見解を示しました。

また、指針では、適正取引の実現に向け、望ましい対応や実践例も示しました。具体的には、製品などの「成果物の対価」と「知財の対価」を分けて協議することや、固定的な契約内容になるのを防ぐため、売り上げに応じた報酬や一時金といった多様な対価設定、共同研究開発の成果で一方のみが特許を取る場合は、適切な対価を支払うことなどを求めています。

公正取引委員会では、問題発生の防止に向け、事前に取引条件を明確にして協議することが重要とした上で、書面で具体的な取引条件を記録するなどの対応が望ましいとしています。

●BGM使用料、アーティストにも還元(改正著作権法)
店舗やイベント会場などのBGMとして流れる音楽の使用料を新たに歌手や演奏家らが受け取れる権利の創設を盛り込んだ改正著作権法が、参議院本会議で可決・成立しました。公布から3年以内に施行されます。

▷詳細はこちら(PDFが開きます)

現行法では、飲食店やイベント会場などで楽曲が流れた際、使用料を受け取れるのは作詞・作曲家などの著作権者に限られています。今回の法改正では、この使用料について、歌手・演奏者などにも支払われる「レコード演奏・伝達権」の創設が盛り込まれました。

一方、使用料を徴収される商業施設側には新たな負担が生じることになります。使用料の具体額や徴収方法は改正法の施行日までに検討するとしています。

●生成AIの楽曲の著作権めぐり指針公表(JASRAC)
JASRAC(日本音楽著作権協会)は、人工知能(AI)を利用した作品の著作権の取り扱いに関する指針を公表しました。

▷詳細はこちら(PDFが開きます)

生成AIを利用して作られた音楽が急速に広がる中、JASRACは、単純な指示に基づいてAIが歌詞も曲も自律的に生成したものは「人間の創作的寄与が認められない作品」として、著作物に該当しないとする考えを示しました。

一方で、歌詞もしくは楽曲のいずれか一方をAIが生成し、もう一方を人が創作した場合の歌詞・楽曲については、著作権が切れたパブリックドメインと同様に扱い、人が創作した方の歌詞・楽曲のみを著作権使用料の管理対象にするとしました。

<編集後記>
【ご報告】7月1日の「弁理士の日」に、パレスホテル東京において日本弁理士会の表彰式が開催されました。当職は、同表彰式において感謝状を授与されました。この感謝状は、知的財産に関する公的委員としての活動を通じ、弁理士制度の発展に貢献した弁理士に贈られるものです。今回の感謝状授与を励みとし、今後も弁理士としての職責を果たすべく、より一層努力してまいります。

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発行元 藤川IP特許事務所
弁理士 藤川敬知
〒468-0026 名古屋市天白区土原4-157
TEL:052-888-1635 FAX:052-805-9480
E-mail:fujikawa@fujikawa-ip.com
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